Early Summer (1951) : 麦秋

『麦秋』(ばくしゅう)は、小津安二郎監督による1951年・松竹大船撮影所製作の日本映画。日本では同年10月3日に公開された。
タイトルの「麦秋」とは、麦の収穫期で季節的には初夏に当たる時期を指す。
小津の監督作品において、原節子が「紀子」という名の役(同一人物ではない)を3作品にわたって演じた、いわゆる「紀子三部作」の2本目にあたる作品である。1949年の『晩春』に引き続き、父と娘の関係や娘の結婚問題を主なテーマにしているが、本作ではそれがより多彩な人間関係の中で展開されている。

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Early Summer (1951) / 麦秋のあらすじ

北鎌倉に暮らす間宮家は、初老にさしかかった植物学者の周吉(菅井一郎)とその妻・志げ(東山千栄子)、長男で都内の病院に勤める医師の康一(笠智衆)、康一の妻・史子(三宅邦子)、康一と史子の幼い息子たち2人、それに長女で会社員の紀子(原節子)という大家族である。まだ独身の紀子は、親友のアヤから同級生が結婚することになったという話を聞き、紀子の上司・佐竹からも“売れ残り”だと冷やかされる。

春のある日、周吉の兄・茂吉(高堂國典)が大和から上京してきた。茂吉は28歳になっても嫁に行かない紀子を心配する一方、周吉にも引退して大和へ来いと勧めて帰っていく。同じ頃、佐竹も紀子に縁談を持ち込んできた。商大卒、商社の常務で四国の旧家の次男となかなか良い相手のようで、紀子もまんざらでもない風である。

縁談は着々と進んでいる様子で、康一の同僚の医師・矢部の耳にもこの話が入ってきた。矢部は戦争で亡くなった間宮家の次男・省二とは高校からの友人だが、妻が一昨年に幼い娘を残して亡くなっており、母親・たみが再婚話を探しているのである。

間宮家では、紀子の縁談の相手が数えで42歳、満40歳であることがわかり、志げや史子は不満を口にするが、康一は「紀子の年齢では贅沢は言えない」とたしなめる。

やがて、矢部が秋田の病院へ転任することになった。出発の前の夜、矢部家に挨拶に訪れた紀子は、たみから「あなたのような人を息子の嫁に欲しかった」と言われる。それを聞いた紀子は「あたしでよかったら…」と言い、矢部の妻になることを承諾するのだった。間宮家では皆が驚き、佐竹からの縁談のほうがずっといい話ではないかと紀子を問いつめるが、紀子はもう決めたことだと言って譲らず、皆も最後には了解する。

紀子の結婚を機に、周吉夫婦も茂吉の勧めに従って大和に隠居することにし、間宮家はバラバラになることとなった。初夏、大和の家では、周吉と志げが豊かに実った麦畑を眺めながら、これまでの人生に想いを巡らせていた。

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